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『希望の資本論』その21/完

『希望の資本論』その21/完

【171ページ】

ピケティ グローバルな解決法はないと思います。欧州、中東、アフガニスタン、中国といった地域ごとに解決をはかっていくことになるのでしょう。もちろん、すべて相互に関連はしているのですが、民主的な闘いや社会運動の在り方は同じではありません。佐藤さんはフランスの連続テロ事件に言及しましたが、「現状が極めて深刻だ」という見方には完全に同意します。フランスでは2015年末に地方選挙があります。国民戦線が国政レベルで権力を握るとは思いませんが、多くの地域で勝ち、議会で多数を占めることはあり得ます。これは大きな政治的ショックを与えるでしょう。~。
私たちは政治共同体をより大きくしていかなければなりません。中東諸国の国境は(欧州列強の)植民地開拓者たちによって恣意的に引かれた。その一部は取り消されるべきです。きわめて平和的に、というわけにはいかないかもしれませんが、そうなっていくでしょう。

(終わり)
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『希望の資本論』その20

【170~171ページ】

佐藤 ~、近代的な載争をしたのは1904~05年の日露戦争が最後でした。25年も戦争をしていない軍隊は完全に官僚化し、紛争の本当の怖さが分かりませんでした。そして2回ほど、大きなクーデターの試みがありました。クーデター自体は失敗しましたが、政治家も民衆もその再発をあまりにも恐れ、全体主義的なシステムになってしまいました。
残念ながら、21世紀の今、そういう時代に郷愁を感じている人が出てきています。「日本人は非常に優秀な民族であるから、問題は一挙に解決できる」と信じているのです。
近い将来、日本にもナショナル・フロント(国民戦線)ができると思います。それと同時に、いわゆる「イスラム国」(IS)のように、革命のような形で「宗教によって一挙に平等を実現したい」と考える人も出てきています。「ドラスチックに物事を変えてしまおう」というこのような考え方に対して、どうやって対応していけばいいと思いますか。

* 民主的な選挙制度
明治憲法下では、衆議院議員は納税額に応じた制限選挙で選ばれていた。1925年に25歳以上の男性に選挙権が与えられ.男性の普通選挙が実現した。女性の選挙権が認められたのは載後の45年。

* 国除的な経済情勢の悪化
日本国内では1920年代を通じて不況が続き、関東大震災後の21年には銀行の取リ付け騒ぎが相次いで金融恐慌に。29年に米国で始まった世界恐慌のあおりで昭和恐慌も起き、深刻なデフレに陥った。
(つづく)

『希望の資本論』その19

【169~170ページ】

佐藤 私は、官僚に巨大な椛力を握らせると、かつてのソ連や東ドイツ、ナチス・ドイツのようになる危険があると心配しています。

ピケティ 佐藤さんが言うように、超国家的な官僚機構は危険かもしれません。ただ、私の結論はこうです。
巨大な政治共同体を組繊するのは確かに難しいのですが、今日の世界では、小さな政治共同体として生きていくことも難しい。どちらかの困難を選ばなければなりません。
巨大な政治的共同体をつくれる可能性はあります。EUは、政治的な統合をより進めていくべきです。その国だけの利害やナショナリズムを超えて、民主主義がうまく機能するようにモデルチェンジすることはできる。そうすることで、グローバルな金融資本主義を、民主的な手法によって規制できるのです。
欧州の場合、各国の議会をペースにした、新しい形の民主的な議会をつくる必要があります。各国議会の主権をベースにした、欧州議会の主権をつくり出すためです。複雑な作業ではありますが、民主主義をモデルチェンジする手法を繰り返し考え抜くことは、民主主義が再び資本主義をコントロールできるようにするための、たった一つの選択肢なのです。マーケットも民主主義も信じられなければ、何が残るというのでしょうか?
(つづく)

『希望の資本論』その18

【168~169ページ】
ピケティ 現代における最も大きな課題の「つは、巨大な政治共同体を、民主的かつ個人の権利を尊重し得る手法によって組織することでしょう。スウェーデンで900万人の政治共同体をつくるほうが、フランスで6500万人の政治共同体を組織したり、欧州連合(EU)で5億人の政治共同体をつくったりするよりも簡単です。
しかし、私たちは巨大な政治共同体を組織し、その政府がすることを信頼できるような仕組みを見つけなければなりません。さもなければ、私たちの命迎は強力な資本家たちに握られることになります。金融資本主義の世界で、小さな国々は「隙間産業」として生きていくため、自らの基本的な価値観と正反対のことをしなければならないことも多い。わずかな分け前にあずかろうと、喜んでタックスヘイプンになるんです。フランスはルクセンブルクなどをタックスヘイブンだと批判しています。一方で、世界経済全体から見ればフランスやドイツも小国です。
(つづく)

『希望の資本論』その17

【163ページ】ピケティ氏と佐藤氏との対談

佐藤 ~。旧ソ連が崩壊してロシアになっていくときに、非常に野蛮な形で資本が蓄積されていくのを見たので、『21世紀の資本』に晋かれているような「トップ0.1%」とか「0.01%」の大金持ちに対して私はあまり好感を持たないんです。
ところで、マルクスの『資本論』では、「労働力商品」のみが価値をつくり出す特殊な性質を持つことになっています。この点についてどう考えますか。

ビケティ 「労働力だけが価値をつくり出す」というのは、どういう意味なんでしょう。「生産物から生じるもうけはすべて労働者が得るべきだ」ということでしょうか。私有財産が地上から廃絶され、そこから利益を得られなくなれば、原則としてもうけはすべて労働者が得ることになり、それのうちどれくらいを(生産を増やすための)再投資に回すかをみんなで決めることができます。ですが、私宥財産の廃絶というのは間違った「答え」だと思います。私有財産をなくせば、たとえば官僚に権力を与えることになり、労働者がよりいっそうの自由を得ることにはつながらないからです。

【164ページ】
佐藤 『資本論』によれば、賃金は生産過程で資本家と労働者の力関係によって決まるのに対し、利潤や配当、地代は、その剰余価値が資本家や地主の問で分配されます。ピケテイさんは、賃金はどのように決まると考えますか。

ピケティ 資産のタイプに応じて、その所有者と労働者の問の力関係は異なると思います。農地を巡る歴史は、産業に投下された資本や、資産としての奴隷の歴史とは異なります。賃金の水準や資本の所有者への利益配分の水準は常に、技術や、社会的、制度的な力関係があいまって決まります。私が本で語ろうとしたのは、異なるグループの人たちが常に「何を得るべきか」についての理論的な根拠をつくり出そうとしてきたという、人類の歴史なのです。
 (つづく)

『希望の資本論』その16

【149ページ】
池上 『資本論』を読むと、実は資本主義によって労働者たちは鍛えられ、能力が開発されていく、あるいはそこで労働者が団結する、そういう組織化する力もついてくるんだということも言っている。資本主義はそういう労働者を育てるというところもあるんですね。資本主義がすべてダメというわけではないということを、実はちゃんと書いてあるんです。

佐藤 それから9年の義務教育、世界基準では大体11年、12年なんですが、それだけの長期間の義務教育がなぜなされるかというと、そういう義務教育で基礎教育をしておかないと、技術革新に対応できないからですよね。要するにOSをもらえるわけなんですよ、この資本主義というシステムに適応できるようにするために。

池上 なるほど。
佐藤 OSを持っていれば、そこに何らかのアプリを入れれば動くようになるわけです。

【152~153ページ】
佐藤 岡崎次郎さんは面白い人で、4億、5億と印税が入ったが、お金を全部使ってしまったと。それで、奥さんと一緒に失踪してしまうんです。~。
それから、国家社会主義者の高畠素之が訳した日本最初の訳を、徳間書店から復刊してもらおうと思っています。文学的センスのある名訳です。彼は戦前、日本で一番最初に『資本論』を訳したのですが、なかなか文学的センスがあるので、訳がいいんですよ。誤訳が多いという人もいるけれど、必ずしもそうではない。この人は『資本論』を訳しているうちに、『資本論』は正しいけれどマルクス主義は間違っている、と思うようになった。そして国家社会主義者になった。どうしてかというと、マルクスは進化論をよく知らない。人間は性悪な存在だから適者生存でやっていくので、この資本主義の論理が適者生存の中に入っていったら大変なことになる。だから最大の暴力装置である国家によって資本を抑えないといけないという主張をした。こういう経緯があるので、左翼系の人は高畠訳を評価しない傾向がある。
(つづく)

『希望の資本論』その15

【143~144ページ】
佐藤 『資本論』を読んだ結果、どんないいことがあるのかというと。資本の論理に巻込まれないためには直接的な人間関係が重要だということがわかるんですよ。『資本論』を読んで資本の論理がわかると、お手伝いをしたら子どもに今日は500円あげるとか、そういうことをしなくなる。
家族の中で金を介在させたらいけないんだという、そういうことが理屈の上でよく理解できるようになってくる。そうすると、直接的な人間関係が大切になってくるわけですよ。合理性とは違うこと、お金には換算できないものがあるんだと言って、たとえば親が家族旅行の重要性を認識できる。

【144ページ】
池上 すべては資本の論理に流れていってしまい、人生も家族も、すべてがお金に換算されてしまうのが資本主義なんだということを『資本論』は描いている。私たちが人間性を失わないようにするには、そのすべてをお金に換算する論理から抜け出る力が必要なんだと。

佐藤 佐藤そうです。だから、そこで恐いのは数字なんですよ。介護保険が導入されました。介護労働を家族だけでやるというのは、これは無理です。ところが一方で、介護保険で点数制になってくると、家事労働や介護が全部お金に換算できるようになります。おばあちゃんを一回お瓜呂に入れるのが、介護保険なら何点、それなら私にもいくらちょうだいというふうになってくる。資本主義がどんどん浸透している中で、そういう考え方は本来の人間のあり方ではないというメッセージを、どうやって伝えればいいのか。そういうところと関係してくると思うんです。
そのためには自分の家の中で、とくに子どもとの関係で、どこか資本の論理とは違うところを意図的に作らなければいけません。
(つづく)

『希望の資本論』その14

【125ページ】
佐藤 何を言いたいのかというと、宇野経済学を別の形で見なければいけないということです。資本主義はそう簡単に壊れない。簡単に壊れないんですが、このシステムには相当問題がある。それは人間をボロボロにする危険性がある。だから、とりあえずうまくつきあっていかなければいけない。
もしかしたら、いつかこのシステムはなくなるかもしれないが、それは近い未来には来ないような感じがする。それでも、資本主義にとらわれないような生き方はできるわけです。池上さんを見ていると、『資本論』の精神が生きていると思います。というのは、経済合理性にあわないことを意図的にやっておられますから。大学の先生とか。

【134ページ】
池上 現代において『資本論』を学ぶことは、いまの資本主義社会を相対化する、これだけがすべてじゃないよ、これはこうやって動いているんだ、そして自分はその中でどういう立ち位置にいて、その資本の運動とどうつきあっていけばいいのかな、と考えるきっかけを与えてくれる。自分が生きている社会を、相対化する力を与えてくれると思うんです。
(つづく)

『希望の資本論』その13

【116~117ページ】
佐藤 浦和高校の応援団の先輩、中学校も私と同じだった人が東京教育大学に行って革マル派に入咳中核派に捕まって殺されてしまった時に、『革命的暴力とは何か?』というこの本が出た。中核派の暴力は「無原則な政治屋どもの殺し」で、革命性がない。しかしわれわれ輩命的に行使する暴力は正しい、という本なんです。自分たちの暴力は正しくて、相手の暴力は間違えていると。

池上 さらに言うと、「この野郎」と言って暴力をふるってはいけないけれど、組織決定に基づいてきちんとやるなら、正しい暴力であると言っています。

佐藤 それから遅れて、今度は革マル派が早稲田大学の中核派の人を殺しちゃったんですよ。その時は、今度は中核派のほうが『内乱期の反革命』(前進社)という本を出して、それは「反革命、革マルの本質」について書き、革マル派を徹底的に解体すれば世の中は良くなるといった論理を立てて、両方が殺しあいの世界に入っていくんですよ。

【120ページ】
佐藤 社青同のオルグの人が、私の行動に問題があると言って京都までシメに来た。その人から、社共統一戦線を取っているんだから、社会党系の社青同は共産党系の民青と握って新左翼系である同志社の学友会や神学部の自治会とはケンカしろと言われて、それは私は嫌だと言いました。
 (つづく)

『希望の資本論』その12

【107ページ】
佐藤 これはブラック企業もそうなんですよ。人間を物として見るということが現在の主流派経済学にも、テロリズムの哲学にもある。それに対してヒューマニズムの回復を強く唱えたのが、ピケティ氏ですね。人間は物ではない。人間は人間なんだと。

【113ページ】
佐藤 『資本論』を読んで、どういう意味があるかと言うと、やはりこの社会の構造の限界がわかる。それと同時に、お金や出世だけにとらわれた人生ではだめだということも見えてきます。逆に、ある程度働かないと生きていけないということがはっきりわかるから、世の中をひねくれた形で見る人間にもならない。
そういう意味で、『資本論』の論理をきちんとおさえていると、私は非常に役に立つと思う。世の中にいくつか役に立つ思想はありますが、『資本論』はそのうちの一つだと思います。
(つづく)
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