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ニヒリズムと小さな幸せなどについて(下)−('99/9/16)
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▼ 1993(平成5)年7月12日(午後10時17分)から3年後、越森幸夫奥尻町長は…

「マグニチュード7.8という、この震災における被害の状況は人的被害、死者172名、行方不明26名、重軽傷者143名におよび、被害総額は約664億 円にも達しました。人口わずか4,000人半ばの島にあり、町の年間予算規模約50億円のひ弱な財政基盤からして、自然がもたらしたこの震災に対しての復 旧・復興対策は余りにも大きいものであります。
 いったんは完膚無きまでにたたきのめされた奥尻が、災害に強い豊かさを実感できる新しい町づくりのための工事を展開中であり、被災時からすると街の様相 も大きく変わって参りました。これも国、道などのご理解と全国津々浦々からの物心両面のご厚情の賜物と思っております。」


と町の復興に向けた心境を語り、これまでの各種支援に感謝を述べるとともに、足並み揃えての新生活をスタートする目算が立ったと報告している。

▼ 私に前向きな人生観と、「小さな幸せ」を求める勇気を与えてくれた友人の娘さんたちも、すでに高校生と中学生であり、母の死から約10年が過ぎようとしている。若い時分の私が抱えていたニヒリズムは、「幼子の手の温もりに、あっさりと降参するほどのもの」であり、「親兄弟や夫、嫁いだ家、わが子たちのためにだけ生きたような母との対比で考えれば、あまりにも軽い現実からの逃避的な感情」に過ぎなかったのだろう。

▼ そして、友人の経験した恐怖の一瞬や喪失感でさえも、再び青苗地区の高台に旅館を建て、家族一同が協力し合って生活を営むというたくましさに結実していることを思えば、気分も晴れるのである。

▼ このようにニヒリズムは、多分、中途半端が一番良くないのであり、自分の逃げ道として後ろ向きに作用しやすく、その罠は至る所にしかけられているものなの だろう。だからこそ、私は甘いニヒリズムへの誘惑を感じつつも、「小さな幸せ」や「今はなき近しい人たちの面影」を大切に、これからも自らの中に生み出されるニヒリズムに対抗していきたいと考えている。

※ 7年も前に書いたことを再掲しながら、当時のことを思い出している。時の流れというものは、想像を超えたスピードで、立ち止まることを許さない。機会を見つけ、「振り返り」という作業をしておくのも大切なことだと再認識しえいる。というわけで、皆さん、よいお年をお迎え下さい。
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