| 02/03 | |
清潔・無菌主義への警鐘('2000/10/8) |

* 雪印事件を忘れた頃にペコちゃんの不二家
▼ 最近の清潔・無菌主義への世論の傾斜には警鐘を鳴らしておきたいと考えている。2000年9月22日の朝日新聞に、7月上旬から9月中旬までの「回収された主な食品と理由」が掲載され、その内容は次のとおりである。
(時期) (食品名と企業名) (回収の理由)
7月上旬 乳飲料 (小岩井) 「酸味がある」
中旬 牛乳 (森永) 「味がおかしい」
牛乳 (京阪牛乳) 「酸っぱい」
清涼飲料 (キリン) 「さびくさい」
そうざいパン (山崎) 「カビのような粉」
黒糖蒸しパン (敷島) 「カビ」
乳酸菌飲料 (いかるが牛乳)「異臭がする」
カップ入りデザート (山崎) 「味がおかしい」
下旬 ドリアンソース (ヱスビー) 「乾燥剤混入」
ヨーグルト (千葉北部酪農共同組合)「大腸菌群検出」
8月上旬 コーン缶詰 (清水食品が輸入)「ヤモリが混入」
トマトジュース (キリン) 「ハエが混入」
中旬 ポテトチップス (カルビー) 「トカゲが混入」
食パン (山崎) 「虫が混入」
果実飲料 (ヤクルト) 「プラスチック混入」
プリン (KFC) 「容器の破片混入」
下旬 チョコ菓子 (ブルボン) 「ガが混入」
冷凍中華丼の素 (味の素) 「プラスチック混入」
脱脂粉乳 (雪印) 「黄色ブドウ球菌」
トマトソース (キッコーマン)「ガラス片混入」
清涼飲料 (ミツカン) 「紙パックに欠陥」
サケの瓶詰 (ニチロ) 「ハエが混入」
ソーセージ (鎌倉ハム) 「虫が混入」
チーズ (明治乳業) 「ゴム片混入」
シリアル (ケロッグ) 「虫が混入」
9月上旬 蒸しパン (山崎) 「ゴキブリが混入」
スライスハム (雪印) 「虫が混入」
こんにゃくゼリー (マンナンライフ)「異物混入」
中旬 ケーキ (ブルボン) 「包装に穴」
ドレッシング (富士甚醤油) 「ハエが混入」
ホワイトソース (ハインツ日本) 「缶ぶたに損傷、カビ」
子ども向けめん (和光堂) 「金属片が混入」
▼ たしかに、金属片やプラスチック片、黄色ブドウ球菌などは重大な問題であり、企業責任を問われても仕方がないと思う。しかし、少々の酸味、カビ、ハエの1匹や2匹、異臭などについて、食品を製造するプロセスの中では当然想定される事柄であり、「軽度のクレーム処理」程度に位置づけることも必要なのではないだろうか。
▼ 雪印乳業の犯した間違いと経営のあり方に対しては、しかるべき社会的な制裁が与えられることは当然であろうし、二度と過ちを繰り返さない体制の確立こそが信用回復の第一歩なのである。でも、それと「少々の酸味、カビ、ハエの1匹や2匹」とを同一に位置づけるのは、食品メーカーにとって酷であると思うのだ。それによって、実際に経営危機に陥った中小のメーカーがあり、朝日新聞紙上でも同情していたほどである。
▼ 不正確な記憶で申し訳ないけれど、外国のジョークに「ドイツ人はビールにハエが入っていたら、アルコールで消毒されていると考え、そのまま飲む。アメリカ人は、訴訟国家らしく裁判に持ち込み損害賠償を請求する」という趣旨の表現があった。僕は、ドイツ人のような寛容さを支持したいし、「少々の酸味、カビ、ハエの1匹や2匹」があったならば、新しいものと取り替えてもらえばいいではないか。
▼ 加工されてはいるとはいえ、生もののだから起こり得ることがある。精密部品や集積回路などのように、外部との遮断、徹底した粉塵・空調管理システムなどの導入を食品メーカーに求めるとすれば、低単価で提供するという機能が果たせなくなるを理解すべきだろう。そもそも、一つの事例をあげれば、「虫も食べないような、美しくて、無農薬で、しかも形の揃った野菜」ということが矛盾しているのだから。そして、いくら完璧を前提にしたシステムでも、那須ハイランド・パークのジェット・コースターみたいに、ときには停止してしまうことがあることを忘れてはいけないと思 うのだ。
