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「水は方円の器に従い」('2002/1/28)−by水元正介
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◆ 昨年末に友だちから誘われ、詩吟の会と忘年会にお邪魔した。発声練習から始まり、大きな声を出すことに異様な感じを受けたけれど、腹から思いっ切り声 を出すためには、背筋を伸ばして姿勢をただし、複式呼吸の要領を覚える必要があり、すこぶる健康に良いことが実感できた。
それにもまして、次の古い詩が吟じられるのを耳にし、「人学ばざれば道を知らず」とは、まさに自分の現況を的確に言い当てられたようで、強烈な感銘を受けてしまった。

「玉みがかざれば」 逸名

玉磨かざれば 光を成さず
人学ばざれば 道を知らず
水は方円の器に従い
人は善悪の友に依る


◆ 詩の大意は、玉、人、そして水も、そのままでは利点が発揮できず、外部からのアクションや自助努力が不可欠であるという意味なのだろう。私なりの解釈 を述べれば、まず「水」については、「器の中で静かになる(従っている)」ことが常であり、それをふまえた日本の「治水思想」が長く息づいていたと思い知 らされた。
 しかし、人は「方円」を形づくるときに小さな間違いを犯し、高度成長に至る過程で大きく脱線してしまったのだ。
 治水を公共事業にたとえれば、政治家の口利きなど、学び続けずに道(倫理)を知らない人たちによって、各地で水の流れがよどみ、海苔や魚介類に悪影響を与えてしまったのではないか。

◆ さらに、「玉」をお金にたとえれば、世界中で一番よく働き、経済大国になったわが国は、その成果である「玉」を有効に国内へ投資したり、新しい事業を開発したり出来ず(玉を磨けず)、いまだに不良債権の重圧から逃れられないでいる。
 この詩は最後に、人にとっては自助努力に加え「友」が大切であると説いている。個性の時代や自己責任が強調されている世相の中で、「人は善悪の友に依る」ということが、動かし難い事実として強く訴えかける力があると思った。
 
◆ 読み人知らずの古き詩ではあるけれど、「資金・人・水は決してバラバラに考察されるものではなく、トータルとして考察できるものだ」ということを、わかりやすく私たちに教えてくれているような気がする。
 金融・財政、雇用・教育、公共事業といったテーマを、それぞれが縦割りで解決しようとしても限界があり、今こそ、古き時代の人たちが吟じたようなトータル的な観点に立ち、解決策を構想していくべきときなのだろう。
Copyright © 2005 水元正介アーカイブ.
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