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六本木・環境派 2006.4.18
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(第1章)

◎ 2006年4月18日(火)、小生は社会奉仕活動、今で申せばボランティア活動ですな。それに、まー、早朝から小1時間ほど参加したのでございます。懐紙(ポケット・ティッシュ)を配る係りと清掃をする係りがございまして、小生には炭バサミで路上のたばこの吸い殻などを拾う役目が与えられたのでございます。現代人には炭バサミなど、ゴミ拾いでもない限りお使いにはならないことと存じますが、小生が育った頃の家庭環境というものは囲炉裏を中心としたものでございました。今なお「商品名」を変えずに、320円〜500円で通信販売されていることは、たいそう不思議に思えるのは小生のような「人生50年」を過ぎた者だけなのでありましょうか。

◎ 炭バサミを使いながら、ゴミを拾っておりますと、小生はのどかな田園生活を過ごした幼年時代のことが思い浮かぶのでございました。小生の田舎には「一本木」という地名はございましたが、「六本木」はお江戸、大都会トウキョーの眠らない街なのでございます。炭バサミを手に、まずは六本木交差点の車が行き交う道路の隅、およびツツジの生垣の中からゴミを拾い出そうと、アスファルトの路上に目をやると、身をくねらせているキャスターの吸い殻があったのでございます。24時間、交通量の多い路面でタイヤに何度も押しつぶされたのでございましょう。その痛々しいお姿は、クシャクシャになったキャスターの水色のマークで察しがついたのでございます。小生は炭バサミで路上から取り上げ、厳粛な想いでゴミ袋へ埋葬させていただいたのでございます。

(第2章)

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◎ 身体をくねらせ、痛々しい姿のたばこの吸い殻に続いて、小生はアメリカンドック用の串を炭バサミで道路から取り上げたのでございます。目を近づけ、よくよく観察してみますと、鋭利に尖がっていたはずの先端が毛羽立ち、木が繊維状態に変化し、まるで絵筆のようになっているではありませんか。これまた、いかにも重たそうで幅広いトラックのタイヤや、サッと走り去り、キューッとブレークをかける外車のタイヤなどに押しつぶされ、やっと道路の隅にたどり着いたアメリカンドックの運命に心打たれたのでございました。

◎ ところで、小生は大学生時代に上野公園内で、アメリカンドック製造・販売のスタンドでアルバイトをしたことがございます。製造とは申しましても、簡単な作業なので学生でもすぐに覚えられ、行列ができる時間帯にはドンドン売れていくものですから、やり甲斐や充実感があったと記憶しているのでございます。今は、「アメリカンドックメーカー」という商品が、串も付いて580円(消費税込み609円)でインターネット販売されているぐらい、家庭でも手軽にできるおやつになっているのでございましょう。というわけで、アメリカンドックの串も丁重にゴミ袋へ埋葬させていただいた次第でございます。

(第3章)

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◎ 世の中には、「今日こそは勝てるという流れにある場面」でも、勝利寸前で逆転サヨナラホームランを打たれてしまうことがあるのでございます。それが戦(いくさ)というものでございましょう。小生が30年以上も応援をし続け、去年のセ・リーグを制覇した阪神タイガースが、今年の読売ジャイアンツの初戦、エースの井川投手がきちんと仕事を果たし、抑えの久保田投手へとつないだのでございますが、結果は李選手に逆転ホームランを喫し、3連敗となってしまったのでございます。それはさておきまして、自動車道と歩道を区分するガードレールは、しっかりとした構造であることが前提であることは言うまでもございませんし、小生もその安全性に何の疑いも持っていなかったわけでございます。

◎ 六本木交差点付近で、たばこの吸い殻、アメリカンドック用の串の次に、小生が拾ったものはナットなのでございました。ガードレールの柱付近に、移動するたびごとに、必ずと申してよいほど落ちておりまして、3個まではゴミ袋へ納めたわけでございますが、4個目ともなりますと、「ひょっとして、これは国土交 通省が予備として備え付けているものではなかろうか?」ということに気づき、周辺を観察してみたのでございます。するとどうでございましょう、ガードレー ルをつなぐ柱の部分のボルトが、手でつまむと抜けるようになっているのでございます。つまり、四六時中、交通量の絶えることのない道路の振動などによりまして、ガードレールをつなぐボルトがゆるみ、ナットだけが落下し、小生の手に拾われたのでございます。

◎ ことほど左様に、鉄壁にガードしているつもりでも、実はガードできていないことがあるという証左なのでございます。実はとりまく諸条件によりまして、今日の阪神・巨人戦でも明らかなとおり、ウィリアムス投手が故障中の阪神タイガースは、去年ほどガードの体制が万全ではないのでありまして、ボルトが形式的にしかついていないガードレールも危険極まりないのでございます。振動の少ない地域と六本木交差点のような地域とでは、ガードレールの構造が異なって当然 なのでございましょう。国(おかみ)の画一的な規格に合致した設備であっても、保守・保全が行われていない現実には、背筋の凍る想いがしたのでございます。たばこ飲みの小生といたしますれば、国(おかみ)は税収増という成果の上がらない「たばこ増税」や医療制度への負担増を伴う「禁煙治療の保健適用」などに躍起となっておるようでございますが、小生は「もっと強固で安全なガードレールを設置し、保守・保全に努めたらよかろうに!」とご注進申し上げたいのでございます。

(第4章)

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◎ 六本木交差点付近の路上からガードレールを越え、小生は赤い花を開き始めたツツジの生垣内に、必ずや不法投棄されているゴミがあると推察し、中を覗いてみたのでございます。そこには、小生が想定した以上のゴミがございました。欧米人の往来が多い場所柄なのでしょうか、近年では日本人からソッポを向かれている感じのコカコーラの大きな紙コップが落ちておりました。赤い紙コップの色が、小生には久しぶりに目にした懐かしさがあったのでございます。

◎ たばこの吸い殻もたくさん落ちておりました。4本の単1乾電池には目を疑いました。何の道具のために電池を入れ替えたのでしょうか。そもそも道路脇に設けられている生垣は、車道と歩道の間に、ある種の安全地帯という役割を果たしながら、なおかつ緑や花によって人々の心を癒してくれるものなのでございます。それが、生垣表面のきれいな花とは裏腹に、内部は人間の無責任で身勝手なポイ捨てというゴミ捨て場と化しているのでございます。というわけで、「国家の品格」が話題になっている時節柄ではございますが、「街中の生垣の中を見れば、国民の品格がわかる」と、ますます確信するに至ったのでございます。

(第5章)

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◎ ずいぶんと古い歌ですが、六本木と言えばアン・ルイスさんの『六本木心中』や荻野目洋子さんの『六本木純情派』を思い浮かべる小生なのでございます。最近、この2曲をカラオケで練習してみるのですが、つたない小生の歌の調律してくれる女房(カミさん)によれば、「やはりサブちゃんの歌がいい。人前では歌わない方が無難だよ」とのことでございます。小生が若輩の頃、六本木へ出かけることは滅多になかったのでありますが、待ち合わせ場所と申せば「アマンド 前」と相場が決まっておりました。現在に至っては、おそらく六本木ヒルズになるのでございましょう。

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◎  六本木ヒルズは、森ビルグループが総力を挙げて築き上げた壮大なビルでございますが、オープン早々に自動ドア事件で死傷者を出し、昨年から今年にかけて はホリエモン騒動の中心地となり、話題には事欠かない場所であり続けております。また、ゴルフ好きの人には、森ビルがいくつかの老舗のゴルフを買収し、それに「ヒルズ」というブランド名を冠し、健全経営を目指していることも知られているところでございます。小生が、六本木ヒルズへ至る坂道の多い裏通り、たばこの吸い殻を拾いつつ、六本木ヒルズを見上げてから、目を下に転じますと、山吹の黄色い花が咲いていたのでございます。一重の花びらでございましたが、 房になって咲く山吹の多い中で、とても清楚な美しさを感じたのでございます。

(第6章:排水溝は灰皿ではない)

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◎ 小生は、これまでにJR王子駅前、田町駅周辺、浜松町駅前、JR宇都宮線自治医大駅前で、吸い殻などポイ捨てされたゴミを清掃するボランティアに、数回ほど参加してきたのでございますが、まず共通していることは排水溝が灰皿がわりになっていることでございます。かつて、「小生は一度たりとも排水溝へたばこの吸い殻を捨てたことはない」と言えるかと申せば、決してそんなことはございませんが、昨今、街中の灰皿が撤去されつつある中で、排水溝というのはたばこを捨てても「罪悪感の少ない」場所になっているらしく、画像のとおり、たくさんのたばこの吸い殻が捨てられておるのでございます。

◎ たばこを吸い終えたら、その吸い殻は所定の場所に捨てるべきでありまして、「過去のことはさっぱりと水に流そう」ということで、排水溝に捨ててしまえば済むというものではございません。日本人の古くから持っている「臭いものには蓋(ふた)」をしておけば、とりあえずいいだろうと考える悪習なのでございましょう。排水溝から中を覗きますれば、淀んだ水がさらに汚く見えるのでございます。雨水と汚水を区分するようになり、お江戸(東京)の河川もきれいになってきたのでございますから、排水溝にたばこの吸い殻を捨てるということは、不埒千万(ふらちせんばん)、言語道断の行為と申せましょう。

(最終章)

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◎ 小生が参加した街の清掃キャンペーン・ボランティア活動の中で、六本木地域に限った特徴としては、吸い殻の分析をしてみると、明らかにメンソールたばこが多いのでございました。それから、眠らない街らしく、健康ドリンクの空き瓶、クラブやバーのホステスの名刺が落ちており、さらには真新しいビニール傘が2本もガードレールにかけてあったのでございます。

◎ ところで、吸い殻などのゴミを拾う道具について、小生は第1章で何の疑いもなく「炭バサミ」と記載したのでございますが、現代にあっては実際の体験として「炭を挟んだことのある人」は圧倒的に少数派でございまして、そのような道具のことを押しなべて「トング(フランス語のTongs)」と呼んでいるらしいのでございます。しかしながら、小生としましては、トングと炭バサミは明らかに違うのではないか、と確信できるのでありまして、トングは「インドア用、食器系、実験室系、清潔タイプ」の道具と位置づけられ、一方の炭バサミは「アウトドア用、炭、石炭、ゴミ拾い系」とすれば、和洋の区分を含めた正確な理解になるのでございます。

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* 炭バサミ(150円)  

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* 万能トング(560円) 

◎ ボランティア活動を終え、同僚や上司たちと100円の小型都営バスに乗って、六本木ヒルズを右手に眺めながら、鳥居坂から中の橋に抜け、職場のある田町駅で下車したのでございます。というわけで、連載形式をもって「六本木・環境派」という戯れ文(されぶん)を書き綴って参りましたが、これにてお開きとさせていただきますれば、小生、隠居(定年退職)する暁(あかつき)までには、一度ぐらい、田町駅からの逆コースを巡り六本木まで、暖かい日を選んで、のんびりと散策をしてみたいと思ったのでございます。(了)
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