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競輪場の入口に幼子を背負った女性…
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○ かれこれ35年も前に、僕は田舎から上京し、水道橋のビアレストランで短時間のアルバイトをしながら、小石川の2食付の学生寮に身を寄せ、学生生活をおくることになった。アルバイトを終え、坂道の多い小石川の学生寮まで、文京区民センター脇からのコースを基本に、いくつかのルートを見つけたが、僕は「れきせん公園」で一服したり、伝通院の庭の草花を眺めたりしながら、ゆっくりと歩くことが好きだった。当時、文京公会堂ではTBS系列「ドリフターズの全員集合」の公開録画があって、それを見ようと訪れた人たちの行列が今でも記憶に残っている。それから、現在の東京ドーム付近には後楽園球場とともに競輪場があった。美濃部都政の「公営ギャンブル廃止」の公約によって廃止になったが、新しくできた東京ドームでは、すぐにでも競輪が再開できるようにバンクが地下に格納されていると聞いている。

○ 競輪場を通り抜けるのが、僕の近道だった。休日のアルバイトを終えた夕暮れ時、その近道を行こうと思って歩いていたら、競輪場の入口で幼子を背負った女性を見かけた。日常生活に疲れたような表情だったので、僕は「きっと、競輪好きの夫でも待っているのだろうなー。ギャンブルなどしないで、家族そろって楽しく過ごせばいいのに」と同情したのである。そして、競輪場内に入ったら地面が見えないほどの外れ車券に目を奪われた。これだけの車券を無駄にして、実際の車券に換算したらすごい額になることだろうし、入口で夫を待つ親子みたいな悲しい姿はなくなると思った。そんな残像の積み重なりもあって、僕はその後、社会運動への共感を強くし、実際の運動に携わることになったのかな、と考えているのである。あの頃の記憶は、ずっと封印してきたようになっていたけれど、先日のミニ同窓会で後輩たちと飲み、さらにはKMくんの奥さんとお話しができ、湧き出てくるような感じで、たくさんのシーンがよみがえってきた。皆さんに、感謝を申し上げる次第である。
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