スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

洪水とアユについて

060604p.jpg

* 武士の家の模型!

1999年6月25日-by水元正介

▼ 現在、滋賀県立大学で要職にある動物学者の日高敏隆さんは、新潮社の「波」に「猫の目草」というエッセイを連載しているが、その6月号で犬上川の改修に 至った経緯を書いている。ことの起こりは、1994年の台風24号によって堤防が大きくえぐりとられ、滋賀県彦根土木事務所の河川砂防課が改修計画を策定 したことから始まった。
 犬上川は、開設したばかりの滋賀県立大学の庭先を流れ、ちょうどそのあたりの川幅が狭いことが洪水の原因になっているので、この区域の河岸を切り取り、 川幅を広げコンクリートで固め、きれいな親水公園にして大学の一部ともなる人々の憩いの場にしたい、というのが土木事務所からの説明内容であったという。
 大学の目の前の河岸には、樹齢200年ほどのタブの木の美しい林があり、さらに東部の山のほうへと続く一帯には様々な動物や植物が生息しているので、そ の環境を変えてしまうことに対して、先生方からは「親水公園は見た目にはきれいかもしれないが、自然とはかけ離れたものだ。わざわざそんなものを作らなく ても、滋賀の自然はもっと美しい」という反対の声があがった。
一方、行政側としては、住民の安全を第一に考えるのが任務であることをふまつつ、「洪水はもうまっぴらや、川をコンクリート張りにして、今後、絶対に洪水 が起こらないようにしてほしい」という住民の声もあったが、「もうコンクリート張りの時代ではない」という認識に立ち、大学と共同で改修計画の見直しを行 うことになった。
それから、各部局での注意深い検討、さらには実際にモデルを作って水量や水流の試算など、相当な時間と費用と努力を必要としたが、その甲斐あって自然のままの林を残せる(川の中に島として残した)ことになり、今それに従った改修工事が進められている。

▼ ここで、僕なりに日高氏の気持ちを推測すれば、「やろうと思えば出来る」「各地の先鞭にしてくれ」ということだと思う。また、改修に関わった人々が 「300年、400年に1回程度の大増水が島を襲ったらどうする?そのときは仕方がない。自然とは本来そういうものだ。ドイツのライン川でもそういう計画 を立てている」という共通認識を持ったことに、僕は強く興味を引かれたのである。
 それは、「川である以上、台風がくると水量が一気に増し、氾濫もおこす」という当たり前の認識が、えてして忘れられたり、あるいは過剰に怖れられることによって、日本の河川は美しさを失ってきたのではないか、と思うからである。
 今回の犬上川の改修については、行政側と住民側との間に、たまたま滋賀県立大学の先生方が介在したことによる幸運もあったと考えられるのであり、公共工事全般にわたる第3者機関の必要性を物語っているのではないか。
 昨今、公共事業における「投資対効果」という面から、権威ある評価機関を設け、場合によっては工事計画を中止させる権限を与えるべきである、などの意見が強くなってきている。
 僕としても、たとえば、過疎地域には不必要と判断できるような鉄筋コンクリート造りの「文化センター」など、明らかなミスマッチをたくさん目にしてきた ので、その意見に賛成したい気持ちであるが、いきなり権威ある第3者機関ということではなく、計画の段階から直接利害を伴う住民および環境保全への知見を 持つグループや土木業者などを参加させ、公共工事の質を高めていくことこそ重要なのではないかと思う。

▼ さて、洪水といえば昨年夏(1998.8.27)に起きた那珂川の氾濫が記憶に新しいところである。災害に遭った方々にとっては思い出したくないことだ ろうが、6月2日のスポーツ報知では、前日のアユ解禁で例年にない釣果に喜ぶ釣り人の様子や、「ここ数年、不振だった那珂川だが、漁協組合やオトリ店、釣 り人は『今年は絶対にいい』と口をそろえる。洪水で川底にたまっていたヘドロや土砂が流れたからだ。生まれ変わった那珂川に天然のアユが大量遡上し、『昨 年の2倍の魚がいる』と地元の釣具店が語った」ことなどを詳しく伝えていた。
 そこで、僕は<那珂川や 洪水来たり 翌年の 釣り人あふれて アユ登り来る>という短歌を初めて詠んでみたのであるが、那珂川は昨年の災害を受け川相 は一変し、いまだに災害のつめあとが至る所に残っているそうだ。「洪水で川底にたまっていたヘドロや土砂が流れ…天然のアユが大量遡上」というのは何とも 皮肉な話である。
 僕たちの少年時代には、大雨が降り濁った流れも、翌日の午後あたりになると、川の水は澄んでいたと記憶している。その理由はいろいろあるだろうが、僕た ち周辺の山々に、雑木に代えて杉ばかりを植えてしまったことが一番大きいのではないか。杉山は雑木山に比べ、落ち葉が堆積しないので保水力に乏しいので、 山から流れ出す雨量が多く、しかも地面の土砂を道連れにするから、川の濁りが長引き、川底にも泥が溜まっていくのである。

▼ 最近の鬼怒川あたりでも、砂地にはヘドロが淀み沈んでおり、これでは「砂地を生息の場にしていた川エビや〝スナムグリ〟などの川魚類が生き延びることは難しいなぁ」と実感したのである。
 川を歩こうとすれば、今も昔もよく滑るから、すり足、忍び足で進まないと転んでしまうことになるが、川石や川底を滑りやすくしている原因を分析すると、 今と昔では決定的に違うのである。今は多くが悪臭のするヘドロであり、昔は水苔や水草であった。ちなみに、新鮮なアユに鼻を近づけてみると、たしかにスイ カの臭いがするのであり、川はそのような新鮮な生き物特有の臭いや香りを抱え込んでいたのである。
 それが、現在の川や湖では、清流系の川魚がますます減少し、多少の泥でも生き延びるフナやコイ、さらには海外から持ち込まれた頑強なブラックバスなどの天下になろうとしている。
 僕は、川をめぐる現状に絶望するばかりではなく、少年時代の川遊び、水辺の楽しみといったことが、今ではすごく懐かしいし、贅沢な遊びになってしまったのではないかと思いつつ、いつかは取り戻してみたいものだと切に願っている。
スポンサーサイト

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

アユアユ産卵期のメス生物の分類|分類界:動物|動物界 Animalia門:脊索動物|脊索動物門 Chordata亜門:脊椎動物|脊椎動物亜門 Vertebrata綱:魚類|魚上綱 Pisciformes綱:硬骨魚綱 Osteichthyes目:キュウリウオ目 Osmeriformes上科:キュウリウ

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

水元正介

  • Author:水元正介
  • 水元正介のブログへようこそ!
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。