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『希望の資本論』その11

【99~100ページ】
佐藤 いずれにしても、安倍政権が狙っているのは何かというと、『資本論』に書いてある通りのもので、システムを維持するために、女性をどう使えるかということなんですね。その結果、いま表れているのは、女性の星みたいにもてはやされている人は「名誉男性」というような扱いになるということです。~。
外務省にキャリアとして入った女性でも、メチャクチャになってしまった人がいます。例えばアルコール依存症です。それが原因で途中退職し、亡くなってしまった。しかし、外務省ではその人のことはすっかり忘れ去られてしまいました。

【102~103ページ】
池上 それから、マルクスも書いていますが、労働力の再生産の費用をどんどん引き下げようといういまの資本の運動があって、そもそも社会的な再生産費自体を下げる働きがある。それこそ吉野家の牛丼で。

佐藤 100円ショップで。

池上 あるいは日高屋のラーメンとか、服はユニクロでと。とりあえず、そういうものを着たり食べたりすることによって、相当安く生活できるようになりました。だからその分、企業は賃金は上げなくてもいいんだよ、ということになる。正規労働者に比べてはるかに給与水準が低い非正規労働者でも、ギリギリ生活できる程度までに、社会的な生活費がこのところずっと引き下げられてきたんだろうと思います。これはマルクスが指摘した通りのことが起きていると思うんですよ。
 (つづく)

『希望の資本論』その10

【80ページ】
それで1848年の『共産党宣言』の時点でモーゼス・ヘスは同じ陣営にいた。ところが70年代になると、ヘスはユダヤ人の国家をパレスチナに建てようとするシオニズム運動の理論家になって、結局そのヘスの流れから鱗ルツルが出てきて、イスラエルの建国につながった。そうすると、マルクスの流れというのは、一つにおいては、マルクス、エンゲルス、レーニン、そしてスターリンという形になって、70数年間、ソビエト体制を作る源泉となったのですが、もう一つの流れというのは、イスラエルの建国につながった。あれだけ小さい国ですが、アメリヵに強い影響を与え、いまだに国際秩序の混乱の原因になる国家を作ったというのも、根っこはマルクスたちなんです。
結局、いまだに思想が社会を動かしているんですよ。どういうフレームを作るかということが非常に重要なんです。
それで困ったことが持ち上がった。いままで、マルクス主義は、階級という切り口で問題を解決しようとしてきたのですが、階級という切り口に共鳴して熱くなる人の数が限られている。だから、ナショナリズム研究で有名なアーネスト・ゲルナーは「郵便の誤配」を強調する。「目覚めろ、立ち上がれ」という郵便を、神様はちょっと勘違いして、階級ではなく民族に届けてしまった、と言ったんです。

* モーゼス・ヘス(1812~1875)
ドイツの社会主義者、哲学者。ボンのユダヤ系家庭に生まれる。「ライン新聞」の創刊に関わるなど、マルクス、エンゲルスらと並んでドイツにおける社会主義の祖と言われる。その後、マルクス、エンゲルスとは別の道を進みシオニズムを主張する。
* テオドール・ヘルツル(1860~1904)
オーストリアのユダヤ人作家。ブダペストに生まれる。政治的シオニズムの祖とされる。1896年、「ユダヤ人国家」を発表、翌年には世界シオニスト会議を開催した。

【84ページ】
佐藤 それ(大量殺人の思想)は、原爆投下の論理にも通じますね。日本は異常なイデオロギーに取りつかれていて、戦争を継続していくだろう。だから、ここで原子爆弾を使えば、本土決戦によって失われるアメリカ兵の命だけではなく、日本人の命も救われる。ゆえに、原爆投下は人道的なんだと。こうした考え方は、日本人からすると受け入れ難いし、生理的な嫌悪をもよおすけれども、アメリカ人の中ではいまでも通用しています。
(つづく)

『希望の資本論』その9

【73ページ】
池上 たとえばムハンマドが生きていた1400年前の戦争の時のルールを、そのまま21世紀の現代に生かそうとする。戦争をする時にムハンマドが何をやったのかとか、あるいはムハンマドが率いる軍団が捕虜を取った時に、捕虜をどうすればいいか。殺す、奴隷にする、身代金で人質交換をする、釈放をする、という四つのやり方を取っていたのを、いまに照らし合わせて、捕虜を取ることは良いことであり、その四つのどれを選択してもかまわないというように解釈する。当時のさまざまな動きを現代にそのまま使うわけです。

【74~75ページ】
佐藤 イスラム原理主義は、共産主義やファシズムと比べた場合、決定的な違いがあるんですよね。生産の哲学がないんです。生産の哲学がなくて、分配の哲学しかない。しかし、飯を食わないと生きてはいけない。だから、どこかから取ってくるというように、常に外部を想定していなければなら
~。資本主義を解析すると、一つは、①「商人資本形式」です。~。次に、②「金貸資本形式」です。~。
近代の資本主義では、③「産業資本形式」といって、労働力と生産手段(機械や原料など)を合わせて、時間をかけて商品をなるべく安く生産し、なるべく高く売る。イスラムでは、共同経営者になってここに入ってしまうことで、利息を取ってはいけないという問題を見えなくする、という形なんですよね。
(つづく)

『希望の資本論』その7

【46ページ】
佐藤 『資本論』を読むべき最大のポイントは何かというと、目には見えないが確実に存在する資本の力を見きわめるということ。資本はお金ではありません。たとえば「AERA」の編集部で働いている時間においては、一人一人の労働力は商品化されている。だから、AERA編集長の言うことには従わないといけないし、「嫌だな、佐藤なんかの話を聞きたくないな」と思っても、編集長命令だと聞かなければいけない。それはその時間の範囲において、労働力が商品化されているからです。

【48~49ページ】
佐藤  。実はマルクスの『資本論』のもう一つのポイントは、どうやって資本主義が出てくるかということで、資本主義とは実は偶然からできている。たとえば地球寒冷化にともなって毛織物市場が拡大し、毛織物の原料である羊毛の需要も増大し、その結果イギリスで囲い込み(エンクロージャー)が起きた。つまりもし地球が寒くならなければ(笑)、羊毛
は必要なかったんです。~。
それとの関係で言うと、自分たちにとっての外部があるかどうかということになってくると思います。資本主義が恐いのは、その運動の中に入ってしまうと、外が見えなくなってしまうことです。会社での自分の出世しか見えなくなってしまうとか、あるいは息子や娘の受験しか見えなくなってしまうとか。こういうふうにして資本主義システムの内部で頑張ることしか考えられなくなってしまう。
(つづく)

『希望の資本論』その6

【40~41ページ】
佐藤 そうすると年収150万円そこそこなら、100円ショップを使っていれば食べていくこともできるし、部屋だって新宿区でも築40年以上になった場合なら、3万円以下で借りられます。しかもトイレ共用の場合にはもっと安くなります。住宅費さえ削れば、実は生きていくだけだったら、そんなに大変ではない。
* ホワイトカラー・エグゼンプション
ホワイトカラーに対して、労働法上の規制を適用免除するというアメリカなどで行われている制度。労働時間ではなく、仕事の成果、能力に応じて評価をするとして、日本でも「高度ブロフエッショナル労働制」という名称で、2015年の通常国会で、政府が労働基準法の改正をめざしている。

【42ページ】
池上 最近、都道府県別による大学進学率が発表になって、進学率が最低の鹿児島県は32.1%、最高の東京都では77.5%と40ポイントの差があり、この20年で最上位と最下位の差は2倍になったそうです。

【44ページ】
池上 それとともに日本も、教育と生涯給与がリンクするアメリカ型のシステムになってきた。これによる社会的なストレスがどうなるかというシュミレーションをきちんとしておかないと、大変なことが起こるかもしれない。
(つづく)

『希望の資本論』その5

【36~37ページ】
佐藤 そのかわり、社会主義の理想は一つだけ実現していた。すなわち、労働時間の短縮です。2カ月ガッチリ休みを取り、9時から5時まで仕事なのですが、9時に家を出て、昼休みを2時間とって買い物をして、5時になったら誰一人会社にはいないという(笑)。そういった形で実質3時間労働くらいになったわけです。
そうして、崩壊寸前になっていたあの国が、なぜ生き残ったかというと、1970年代にオイルショックが起きたからです。国内で生産していた原油と天然ガスの価格が上がったため、それを切り売りしてしのいだわけです。しかし、結局91年に崩壊したのはなぜか。2010年にゴルバチョフ元書記長が来日した時に、サシで話しました。~。
「ソビエトが崩壊した理由を一つだけあげると、何だと思います?民族問題ですか」と私が聞いたら、「それは違うな」と。「俺はサウジについて、あまりにも知らなかった」と。「サウジが原油を増産するということの意味を、われわれはまったくわかっていなかった」と言うんです。~。

【37ページ】
佐藤 結局、ソ連では労働力商品化を克服したところで、どうやって働く人間を作っていくのかということができなかった。
 (つづく)

『希望の資本論』その4

【34ページ】
佐藤 ソビエトの子どもって、お金で買えるものが限られているからお小遣いは欲しがらない。お金がいくらあったって、買えるものはパンとか塩とかノートとか。砂糖だって配給券がないと買えないですからね。そうすると、物をもらうことには関心があるんだけれども、お金には関心ない。だから、そういうふうな資本主義の矛盾と言われても、よくわからない。

【35ページ】
佐藤 社会主義経済学という仮面のもとで、近代経済学をやっていたわけです。だから逆にソビエトの人たちは資本主義の一番の問題、宇野派などでいう労働力商品化がわからなかった。要するに労働力は家庭の消費、家族関係の中でしか生産できない。良質な労働力というのは、親が子どもをきちんと育て、教育をして、規律などを身につけさせることによって出てくる。そのことが、ソビエトはよくわかっていなかったんです。
(つづく)

『希望の資本論』その3

【23ページ】
池上 マルクスは革命でひっくり返さなければいけないと考えたのですが、ピケティ氏はやはりどこかで人間の理性を信じていて、「民主主義によってそれを押さえなければいけないんだ」と、そういう言い方をしていました。

【26ページ】
佐藤 ピケティ氏について私が問題だと思うのは、自分の力で変えるという発想が少ないところ。今後も税金を徴収することで、国家に再分配してもらう・国家にお願いする、という発想です。それはある種のエリート主義で、代表制なんです。
だからこれは対話的な理性を強調するユルゲ・ハーバマスと一緒で、外部の世界がないということです。
(つづく)

『希望の資本論』その2

【10ページ】
池上 日本でも水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が話題になりました。長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」であり、日本はその最終局面にいち早く立っている、という本です。

【15ページ】
佐藤 ちなみに、共産党は企業の内部留保が多くなれば賃金が上がると考えています。だから共産党と関係の深い全労連〔全国労働組合総連合)は、「企業の内部留保が増えているのだから、その分を賃上げに回せ」と言った。しかし、内部留保というのは、企業が投資をして資本を増やしていくために必要なお金であって、賃金はその前の段階で決まってしまっているわけです。
しかし、安倍さんが全労連の主張に乗っかる形で経団連に賃金を上げさせた。これは実はムッソリー二と同じやり方で、イタリア・ファシズムの経済理論と同じなのです。
 (つづく)

『希望の資本論』その1

先日、『希望の資本論』(池上彰・佐藤優共著、朝日新聞社、2015年3月31日発行)を読み終えました。今回も抜き書き帳を作成しましたので、ご参照いただければ幸いです。

【1ページ】はじめに(池上)
資本主義は勝利した。多くの人がそう思ったのですが、社会主義と魅力争いをしてきた資本主義は、ライバルの社会主義が消滅した途端、厚化粧することを止め、にわかに醜悪な側面を見せ始めました。
社会主義が力を持っていると、いつ労働者は革命を起こすかもしれない。それを恐れた資本主義国では、社会保障や社会福祉に力を入れ格差の是正にも努めてきました。これが、厚化粧です。
【2ページ】
とりわけ教育格差の進展は、過去の資本主義経済を支えてきた良質な労働力を再生産できなくしています。基本的な漢字すら読めない若者たちが再生産されているのです。これでは、資本主義経済発展のために働ける労働者にはなりえません。
資本主義の発展それ自体が、資本主義の墓掘り人を生み出す。マルクスの予言通りのことが起きつつあるようにも見えます。
【3ページ】
難解な書物と格闘する。その経験があって初めて人は、論理的な思考力を得るのです。これこそが、最近流行の反知性主義の毒に対する解毒剤あるいは予防薬になるのです。
というわけで、佐藤氏と『資本論』をめぐる対談と相成りました。
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